【調湿作用の最適な炭とは...】

まず、炭の種類は@生産地A炭化方法B炭化の進行度C原材料D用途などによって分類されます。

■生産地による区分■

木炭には伝統と現場の誇りがあり、購買者も生産地を聞けばその品質を推定できます。したがって生産地表示は重要です。有名な所は岩手・栃木・和歌山・秋田などがあり、この他、茶の湯炭として有名な池田炭(大阪府池田市東北地域産のクヌギ黒炭)、佐倉炭(千葉県佐倉市付近で製炭していたが、その後、茨城県鉾田町、栃木県芳賀郡に移ったクヌギ黒炭)なども生産地が起源です。

 

■炭化法による区分■

大きく分けると次の3つになります。

1. 築窯法…白炭・黒炭

2. 工業的方法…平炉法・ブロックがま法・乾留法・スクリュー炉法・流動炉法

3. 簡易法…穴やき法・伏せやき法・移動式鉄板がま法・ドラム缶法・薪ストーブ法

日本伝統の炭は築窯法の方法で生産します。

 

■炭化の進行度による区分■ 

空気を制限して木材を加熱していくと、300℃より少し手前で発熱分解を起こし木炭に変わっていきます。木炭を炭化の進行度によって大きく分けると、次の3つになります。

1.低温炭化木炭…400〜500℃で炭化したもので、乾留炭・平炉炭などです。

2. 中温炭化木炭…600〜700℃で炭化されたもので、黒炭(※楢木炭)などです。

3. 高温炭化木炭…1000℃前後で炭化したもので、白炭(※備長炭)などです。

木炭の収率は-図T-のように400℃で34%(3分の1)、600℃で27%(4分の1強)、1000℃で25%(4分の1)になります。 容積重(みかけの比重)は急速に減少し、400〜500℃を底として増大します(図T)。 これは重量減少よりも木炭の収縮のほうが大きいからです。したがって、白炭の方が黒炭よりも容積重が大きいわけです。  炭素含有率は木材では50%ですが、400℃で72%になり、600℃で89%になり、1000℃で95%、1100℃で96%になります(図T)。 日本で最高に炭化の進んだ木炭は96%ですので、このあたりで一致します。

 
 

木炭のエネルギー的用途の基本になるカロリーを調べてみると、木炭は5000カロリーですが、400℃で6700カロリーとなり、600℃で最高の8010カロリーとなり、1100℃では少し減って7640カロリーになります(図U)。 黒炭段階の木炭が最高の値を示すことは、実用上も有益なことです。 白炭段階の木炭のカロリーが減少するのは、炭素が増大する以上に水素が減少したためです。しかし、堅くしまった白炭は燃焼温度がやや低く、火持ちが良くなるため、うなぎや肉などを焦がさず、料理用として好まれる利点をつくりだします。

工業用木炭は鉄・珪素・チタンなど製造時の還元用、二硫化炭素の炭素源として用いられますが、その反応性(木炭を950℃に加熱し、二酸化炭素は還元されて一酸化炭素になります。その還元性を反応性といい、百分比で示します。)をみる試験法としてリン酸・重クロム酸カリ混液による湿式酸化法があります。これによると400〜600℃を底として炭化温度の上昇とともに反応性が増大します(図U)。黒炭でも炭化の進んだものと白炭が工業用木炭として好まれる理由がわかります。

環境改善用(※床下調湿木炭用など)として、吸着を目的とする木炭が期待されています。ヨウ素の吸着試験をすると400℃炭化木炭はタールが微細孔をうめて吸着力が極端に低く、500℃でその細孔が開通しはじめ、600〜800℃の黒炭段階の木炭が最高の吸着力を示し、900〜1100℃の白炭段階の木炭(※備長炭です。)はまた低下します(図V)。  低温・中温・高温の3種類の木炭の性格が現れています。

一方、木炭の水蒸気吸着は、500〜600℃炭化木炭を底として、炭化の進行とともに増大します(図V)。 水蒸気吸着のみで考えると白炭段階の木炭が優れますが、ヨウ素吸着・水蒸気吸着の両面で考えた場合、800℃前後で焼成された木炭(※楢木炭等)が優れていることが-図V-からもわかります。

 
 
このように、木炭は吸着対象物によって吸着能力に相違があります(選択吸着性)から、実用にあたってはあらかじめ予備試験をしておく方がよいことになります。 1957年産の多数の黒炭と白炭について、その性質を調べた結果によると、硬度は黒炭が7に対し、白炭は11と大きな差があります。 精練度は黒炭が5〜4に対し、白炭は1。水分は黒炭が7〜8%に対し、白炭は10%。揮発分は黒炭が9〜7%に対し、白炭は5%。炭素は黒炭が90%に対し、白炭は94%。発熱量は黒炭が8070カロリーに対し、白炭は7770カロリーと白炭の方が300カロリーも低いのです。このように、黒炭と白炭の相違は各性質にかなり良く現れています。 とくに、ヨウ素の吸着量は、黒炭が0.2g/gに対し、白炭が0.08g/gで黒炭の方が2倍半も吸着しますから、両者の違いはきわだっています。 黒炭は炭素含有率が75%から94%と20%の範囲に分布しており、炭化温度は450℃から800℃と推定されます(図Tより)。 実際の各種製炭法の炭化温度から諸性質を推定することができ、応用・利用の実施時にも、その効果を想定できます。 炭化の進行度は元素分析による炭素の含有率で確定できますが、電気抵抗を測定する精錬度(岸本定吉博士の研究成果)により簡単に測定できます。-図W-のように、炭素84%から94%まで、両者の関係はほぼ直線ですから、炭化の進行度をたやすく判定することができるのです。 また、揮発分(950℃で7分間加熱時の減少分)も炭化の進行度と密接な関係があります(図W)。 黒炭と白炭との境で屈折点があります。木炭の工業的利用の際、炭化の進行度判定としての指標になりますが、測定には手数がかかります。